佇まい

佇まい

佇まい

家は 私たちの想像を掻き立てて
くれます。

家の中が どうなっているのか。
そこに住む家族は どんな暮らしを
しているのだろうか。

家が 醸し出す雰囲気は
そこに暮らす家族の人間性とか
価値観が表現されるものです。

そして家は 個々のものでありながらも
街を形成していく
大切な役割を担っています。

ですから一方的に
主張し過ぎるのではなく
内に秘めた静かな意志が
自然に にじみ出てくるような
そんな存在で
あるべきだと思います。

いい家を予感させるアプローチ

家に帰ると最初に出迎えてくれるのは、アプローチに植えられた樹々たちです。

緑と季節の花の香りを感じながら、樹の下を通り抜けた先に、我が家の玄関が待っているのです。通りを通る人は、樹の奥に見え隠れしている家の表情を見て「この家はいい家だな」と佇まい方に感動します。

社会生活の場から暮らしの場へ戻る境目を一つの結界と考え、その結界にあたるアプローチに季節を感じられる樹々を配します。樹の下を通り抜けるとき、樹の姿、葉の色そして香りを感じ、落ち着いた気分で帰宅できるのです。板塀と植栽に囲まれた自然な佇まい方が良いと考えています。

要だけしか足りていないアルミ門扉のようなものでは、そうはいきません。「いい佇まい方」をつくることは、いい家の大切な条件なのです。

期待感を裏切らない玄関

玄関からリビングに入ったときに、最初に部屋の中を見せるのではなく、窓の外の庭を見せるようにします。
また、玄関の天井を少し低くすることで、目線が自然に足元に向かうようにもします。

そして、玄関は必要な広さがとれていて、静かな趣があることが大切だと思います。いい家は玄関を入った瞬間にわかるものですから。

敷地が教えてくれること

敷地には真四角な平らな土地もありますが、長細かったり三角であったり また高低差があったりと様々です。そして日射しの方向や風の通り具合は、敷地それぞれに違いますから、季節を通しての回答が必要となります。

近隣からの様々な影響も設計する上で非常に大切なことです。それに対してもしっかりと見極めておかなければなりません。そのようなことを建築計画をする前に調べ そして読み解き、敷地の環境を最大限に活かした設計をすることが大切なのです。

長細い敷地だから、三角だから、すべてが悪いわけではありません。長細い敷地は、長さを活かした設計にすることで幅の狭さが気にならないようになりますし、逆に長さを広さとして活かすことができます。三角の敷地の場合は、敷地と建物の接点が線ではなく点になりますから、庭は以外に広くとれるものです。
このように敷地それぞれの個性を活かしながら設計を考えていくことが大切なのです。

庭のしつらえ方

◆小さくても遠近感のある庭

日本の情緒ある風景の1つに、土手に植えられたモミジがあります。
その姿は、どれも手前に倒れていて、風雨に飛ばされないよう、自らの根を伸ばしています。
それをヒントに、和室から眺める庭には、少し手前に倒してモミジを植えることがあります。
その横につくばいを配し、周りに小さな木を添えて遠近感を持たせます。
そのようにすることで、狭い庭でも、畳のその先に日本人が好む落ち着いた庭を演出することができるのです。

◆庭の照明について

庭の照明は、明るく照らすのではなく、灯かりとしてそこにあることが重要だと考えています。
照明の色合いや明るさを調整することで 周囲の雰囲気を醸し出し、夜の庭をとても素敵に演出することができます。

日本人はわびさびの和室を好む

和室の壁は、京都の和室にも度々使われる黒色や本じゅらく色といった色合いの和紙や塗り壁で仕上げます。
和紙の場合は幅にかぎりがありますので、重ね継ぎ手貼りをします。また和紙は経年変化による色の変化がでますので、その色落ち具合にも わびさびの風情を感じることができます。
また、和室の天井には できれば照明器具が吊り下がらない方がいいと思います。

天井の一部に和紙風の樹脂板をはめ込み その中に器具をセットします。この設えは、いたってシンプルな構造ですが、器具としての照明を感じることがないので雰囲気を損なうことがありません。

和室の窓はできれば北側に設けるのが理想です。庭が家の北側に在るということは、庭は南向きになります。南向きになる庭は常に明るく樹々や苔が活き活きとして見えるからです。

 

 

 

 

床の間がある和室には より落ち着きを感じるものです。一枚板の吉野杉の地板に野趣ある樹皮つきのコブシの床柱などが、自然の趣を出しながらも 程よい上品さを与えてくれます。

ダウンライトで壁にアーチを描く

既成品の照明器具を好んで設置することは少ないのですが、天井にダウンライトを設置することで 明るさを得ながら壁を演出することがあります。
そのダウンライトは、部屋の中央に設置するのではなく、壁際に少し寄せて設置します。

ダウンライトが壁面に近いとき、そのダウンライトの明かりは壁面にきれいな光のアーチを描いてくれとてもいい感じになります。

外部の軒天井の照明にダウンライトを設置した場合、壁に描かれた光のアーチが 空間にアクセントを演出しています。

同じ窓で外観を整える

昔のいい建物は、和洋を問わず外観から中の間取りが解らないものです。
この学びから、外から見たときに窓の配列や大小で家の間取りが透けて見えないように、窓の配列や大きさを整えるようにしています。

光の濃淡

光の変化のない壁はどこか寂しいものです。言うならば、死んだ壁とでもいいましょうか。

しかし、この壁のすぐ横手に窓を設けることで、壁が活きてきます。横手に窓を設置することで、光が導かれ壁に表情が生まれてくるのです。
朝と昼と夕でも違いますし、天気や季節の移り変わりによっても、光の入り方や明るさが違いますから 壁の表情が変化します。
暮らしの中に、時間の流れや季節の移ろいを感じることで日々の暮らしを楽しんでほしいのです。

腰より低いものは、空間に影響を与えない

家の中に高いものがあると気になるものです。

また、人は自分の視界より下のものは 以外にも気にならないものです。
その高さの基準は、腰の高さで、腰より低いものは、上半身の自由を奪わず、視界的影響も及ぼすことがありません。
そういった具合に、高さに意識を向けることは、空間を設計する上で重要なポイントになります。

目線の終点を意識してつくる

人の目線には、必ず方向と終点があります。
終点で何を見せるかを意識してつくることを心がけています。
例えば、素敵な庭であったり、遠くの景色であったり、あるいは、お気に入りの家具という具合にです。
無意識に、目線が落ち着くようにしてあげることが大切です。
できれば、終点が外の景色に向くようにしてあげると空間が広がりを持ち、居心地がよりよいものになります。

連続するものは上端を合わせる

連続するものは上端のラインを合わせることで、すっきりして まとまりがよくなると思います。
部屋の窓や出入り口は、必ず連続しますので高さを揃えることが基本です。
和室の窓と襖の高さは、他の部屋との上端を揃えることはしませんが、意味があって設えているから違和感を感じることはありません。
連続するものは上端を合わせることが、デザイン基本の一つだと思います。

前面道路から見たときに圧迫感を与えない

表を歩く人にとって、圧迫感を与えないようにすることは、とても大切なことです。

むやみに自己主張し過ぎないようにすることで、落ち着いた街並みが整っていきます。

奥行きの狭い土地では、建物を道路の近くまで、建てることもありますが、その場合 できるだけ違和感のないように2階部分をセットバックさせるようにします。

自然界にある色を使う

別荘地のように緑に囲まれた空間に、建物があることが理想だと思います。
人工的につくられた建物が、まわりの緑に できるだけ自然に馴染むようにと思っています。
ですから、建物の色合いは、自然界に存在する色から求めます。

植栽と外構計画は、建物の基本設計と同時に考える

敷地の周りの環境がいいときは、それを邪魔しないように建物を配し、周りの景色を取り入れるようにします。とはいえ、まわりの環境が、いつもいいわけではありません。むしろ、環境が良くないことの方が多いものです。
その場合、敷地の環境をしっかり読み、最大限に良い環境をつくり出し、家を設計していきます。
家の設計と家を取り巻く植栽と外構計画は、同時に考えるようにすべきだと考えています。

先の予測・元の予感

全部見せてしまうのではなく途中で先を見せなくすることも空間を豊かにするために有効な手法の一つだと思っています。

それは、先を予測させることで より広がりや長さを感じさせることができ、空間に広がりを持たせることができるからです。

例えば、手前より先の空間の幅を少し広めにとり、その向こうを見えなくすることで先を予測させ、実際の幅より広く見せることができます。

また、直線造形の場合、長さを必要長さで止めるのではなく 少し長めにすることで、その延長線を予測させ 直線を強調させることができます。

また、先の予測とは逆に、元を予感させることでも 同じように豊かな空間をつくることができます。

設計デザインは重なることでよりよくなる

建物は、重なりを持つことでバランスがとれ、落ち着いた美しさが引き出されます。
手前があって 奥がある。
場合によっては、手前の手前があって、奥の奥がある。
それによって、主役の建物が引き立ってくるのです。
また、設計デザインは「タン・トン・タン」というような歯切れのよいリズム感も大切です。

「在る」か「無い」か

建物の平面構成や立面構成は、すべて「在る」「無い」で考えることができます。
「在る」と「無い」との組み合わせで どのような空間かが決まり、美しさも決まるといえます。

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